ロボットの話

ドクター、調子はどう? 凄い音がしてたけど大丈夫?
あれ、なんだ、寝てるの?


研究室の床に転がって眠っている男。
名前は知らない。僕はドクターって呼んでる。博士だから。
彼はもう何年も、一人で研究を続けている。
人間そっくりの、ロボットを作るために。


でも、研究室から一歩外に出れば、ロボットみたいな人間ばかり。
そこら中に溢れかえっている。
人間そっくりのロボットが、人を哀れむ姿が見える。
ドクターはそれで良いんだろうか。
僕は、嫌だ。


頼むよドクター。
ロボットみたいな人間を、人間らしくしてやってよ。
でないと怖くて外を歩けないんだ。
寝てる場合じゃないんだよ。


でもドクターには伝わらない。
僕はまだ声も出ない、作りかけのロボットだから。