2008-01-01から1年間の記事一覧

メイソウ

要らないものが手に入り、欲しいものがなくなっていく 降ったりやんだり雨模様 洗濯機を廻しながら 血の滲む枕元

スパイラル―プ

デジャヴ。いつか見たような夢から覚めて、ああなんだっけあの夢、と考える。ついさっきまで見ていた夢もおぼろげにしか思い出せず、結局それが何だったのかよくわからないまま伸びをして起き上がる。今何時だろう? ケータイを開いてみるけれど電源は切って…

手袋が要りそう。

12月だ。色々な人が一年を振り返って反省したり、来年に向けて身の回りを整理したり、今年中に諸々の清算を行おうとしたり、最後に集まって馬鹿騒ぎしようとしたりする。そういう人間たちの活動とは全然関係なく、12月の夜はとても冷たい。どんなに身体を丸…

八方塞がり

かつて生きていたあの物語には、もう戻れないだろうと思う。今なおあの物語の中で生き続けている彼らにとって、僕が物語から外れることは、ある種の裏切りですらあるかも知れない。恩を仇で返すような行為なのかも知れない。あの頃の僕はあの物語がなければ…

アメイジング・グレース

雨だ。地下街での仕事を終えて地上に出ると、結構な勢いで雨が降っていた。傘はない。今の僕にあるのは、ほつれたカバンとびしょぬれの自転車だけだ。店から貰ってきた青いゴミ袋に薄汚れたカバンを突っ込んで、それをさらに自転車の前カゴへ突っ込む。ゴミ…

メモ

青い光と黒い小さな生き物。4番目の部屋――べっこうあめと綿あめの間の網目。5番目の部屋――開きかけの扉、噴水オブジェみたいなかたち。 笑うことについて。笑えることについて。ワラケルについて?

だって眠たかったし

さて、と僕は思う。いつも僕が何かを思うところから始まってしまう気がして、それってちょっと嫌だな、とも思う。結局なにごとかを思わずにいられない。「求職・進路届」とやらの提出が明日までで、ついさっきまでそいつとにらめっこしていた。だってこれ、…

エントロピィ

ちょんぎれて、拡散していく。なんだっけ、これ。誰かいないの?

くつしたを履くこと

新しいくつしたのさらりとした感じが好きだ。新しいタオルのちょっとゴワゴワした感じとは比べ物にならない。くつしたに貼られたラベルをはがして、金属の留め具――名前を知らない――を外す。このゴミをあとで捨てようと思ってそのあたりに置いておくと、たい…

ヒトデナシ

電話がうるさかったのでメールを送って、なんかもうよくわかんない。でも仕方ない、と思う。僕はまた人を崖から突き落としたのかも知れない。でも高さが足りなくて、相手は即死しなかった。笑いながら僕を見てる。そんな感じ。僕は、でも、もうその笑い顔に…

床の上から。

足りない。何かが足りていない。ゆっくりと腐って、死んでいく感じがする。死が死んでいく感じ。遠のいていく、僕の死。死ねないんだ、と僕は言う。死ねないのか、と僕が言う。足りないからだ。何が? どのくらい? あとどれだけあればいい? 答えるものがい…

不要な記憶がデリートできない仕様

あの人が店に来た。「よぉ、お疲れ」なんて言って片手をあげて、相変わらずオールバックでメガネかけて、人の着物姿をニヤニヤ笑いやがる。私はちょっと眉をしかめて「お仕事だから仕方なく着てるんですー!」と憎々しげに言ってみせる。「元気そうやん」と…

マルとペケ

僕はいつまでここにいるんだろう? どうして歩くのをやめたんだっけ。真っ直ぐ。僕の前に続く道は真っ直ぐ。どこまでも伸びているように見える。見えるだけで、ひょっとしたら、すぐに崖っぷちへたどり着いたりするのかも知れないけれど、でも、見ているだけ…

近況

突然歩けなくなる夢をみて目を覚ましたら、丸くなって寝ているせいで足が痺れてた。 カップいっぱいに注いだカフェオレを飲もうと思ったら虫が溺死してた。 寝坊してプラスチックゴミを出し損ねた(2週め!)。 自転車で障害物を避けたらその向こうにあった“…

書けた!

ショパンのノクターンをBGMに、1.5時間に1回くらいはソリティアで休憩しながら、チョコレートを1.5箱とカフェオレを約1Lとその他もろもろのお菓子を消費しつつ、おおむね3日で書いた『論理哲学論考』の20枚論文(400字詰め換算)は、きっと論文的にひどい出…

電子レンジ

壊れた? ほんとうに壊れてる? 電気はつく。でも反応しない。使えない。そう、そうだ。電子レンジは壊れたんだ。どうしてだろう? 古かったから。あるいは、僕が壊したのかも知れない。よくわからない。 「冗談じゃないよ」と誰かが言って、それはたぶん僕…

“身体だるくて逆に眠くないね”

あ、やべっ、と思って飛び起きる。目覚まし代わりのケータイを開く。まだアラームが鳴ってないどころか夜中の3時だったりする。あと5時間は眠れる。自分の「うわぁ寝過ごした!」感は何だったんだ、と思う。とりあえず何か飲もうと立ち上がってみたら、異様…

とりあえずメモの続きのメモ

どうやら私は生き延びたようです。何の感慨も安堵感も喪失感もなく、昨日が終わって今日がやって来て、おそらく明日もやって来るのだろうというように、私は8月31日の朝を迎えました。 タバコを1.5箱吸い、DrPepperを飲みながらカントリーマアムを2/3個かじ…

とりあえずメモ

彼は私を殺しに来るらしい。お可笑な人。でもどうしよう? 私に失望して、殺す気をなくしてしまうかもしれない。それは喜ばしいことなんだろうか。死にたいワケじゃないけれど……窒息死は苦手だなぁ、と考えながら、卵の賞味期限を気にしている。その前に死ぬ…

メモり

怯えることと、ぬいぐるみのことと、ポーズのことを考えて、すこし泣いた。ちょっと混乱しただけだよ、と彼は言った。

電話

今日僕は驚くほどまともな人間と話をした。話をした、と言っても、僕のことだからほとんど相槌を打っていただけなのだけれど。とにかく彼はすごくまともで、すごく好いヤツだった。実際に話をしたのは今日が初めてで、彼が思ったよりもずっとおしゃべりな人…

大学生的日記

私にしては珍しく現実的な話をします。というか、ここで「現実的な話をします」と言い始めていることがすでに現実からの逃避行為であるような気もしますが、ともかく、何の話かって言うとレポート課題の話です。なんて大学生らしいんでしょう! と、書いたと…

中二的破壊衝動

私の口をこじ開けて言葉を掘り出すのはやめてください。私を語りたいならば勝手に語ればよろしい。私にとってそれは「私」という何かの「ラベル」に過ぎません。そしてその「ラベル」こそが、あなた方にとっての私であることだって、重々承知しています。そ…

古い箪笥の話

日常の会話からタグを拾い上げていくと必ず記憶にたどり着く。たどり着いた記憶には「嫌な」とタグが付いていて、僕はまたうんざりする。タグを付けているのが自分であることにうんざりする。結局のところ、外から入ってきた情報をすべて自分の内側に取り込…

the Rot Maker

その音を聞いたとき、僕はソファの上で仰向けに寝転がっていた。部屋には僕しかいなくて、たぶん、そもそも、家の中には僕しかいない。なんとなく目を覚ました僕は、そのままなんとなく天上を眺めていた。そうして、やっぱりなんとなく、時計の音を聴き始め…

世界の真ん中のすみっこで

何も、語りたくなくなる。僕の語ることを理解する人間なんてひとりもいないし、僕はいつだって誰かの語る言葉を理解できずにいる。それは、僕や誰かの頭が悪いからとか、理解力がないからとか、共感能力が乏しいからとか、そんなくだらない理由によるものじ…

はなし相手

あ、たいへんだ、今チョコレートがしゃべった。え? 聞こえなかったって? おい君、ひとの話はちゃんと聞くもんだよ。ほら、怒ってるじゃないか。何がってチョコレートだよ。怒ってるだろ。分からない? まったく君ってヤツは、薄情な男だな。いいかい、チョ…

ケース4:

彼は僕に謝った。彼によると、僕はひどく不快な思いをさせられて、人格攻撃と侮辱を受けていたらしい。けれど、僕はそんなことちっとも気が付いていなかったので、なんだかとてもちぐはぐな感じがした。それよりもむしろ僕の「誰に対しても同じ」スタンスの…

ケース3:

「そんなに気ぃ使わなくていいよ」と彼は言った。仲良くなりたいから、気を使われるのは嫌だ、と。「これがふつうなんです」と僕は答えた。いつもそうしているように。彼は「じゃあ敬語でしゃべるのやめてよ」と言った。僕は「敬語のほうが楽なんです」と答…

ケース2:

学友と話していたら、同じ講義で知り合った女性に「あなたのカレ、おしゃれねぇ」と言われた。「私のじゃないですけどね」と笑って答えた。彼女は私に向って「でも、いつも仲良さそうにしてるじゃない? カレなんでしょう?」と言った。「違いますよ。学科が…