電話

 今日僕は驚くほどまともな人間と話をした。話をした、と言っても、僕のことだからほとんど相槌を打っていただけなのだけれど。とにかく彼はすごくまともで、すごく好いヤツだった。実際に話をしたのは今日が初めてで、彼が思ったよりもずっとおしゃべりな人間であることに驚いたくらいなのだけれど、でも僕は彼のおしゃべりを「好いな」と思った。僕にそう思わせるタイプの人間だったのだ。
 何とか彼について書こうと思うのだけれど、さっきから書いては消して(打っては消して?)のくり返しだ。たぶん僕は彼と話せたことを喜んでいるのだと思う。ただ、「印象」的な部分が強すぎて、まだちゃんと言葉にできそうもない。「難しいですね」と彼は何度も言った。その通りだ、とても難しい。と、僕も思う。