2005-02-24 餓えの話 彼はあらゆるものに餓えている。 だから何でも食べる。 食べるために手に入れる。 手に入れたはしから食べてゆく。 食べたら無くなる。 また餓える。 繰り返し、繰り返し。 彼が今、求めて已まないのは、たった二文字の哀しい言葉。 其れさえあれば、つらい事もなくなるのだと、彼は言う。 傷の痛みも、悲しみも、餓えも。 全て消えるのだと、彼は言う。 「慣れ」 彼には慣れる能力がない。