捨て猫の話

人はいろいろ隠し事をするものだ。
僕だってそれなりにいろいろ隠し事をしている。
上手く隠せば人には気付かれない。余計な心配も掛けない。


けれど、それはつまり、
目の前の誰かも、僕に何かを隠しているかも知れないということだ。
気付かれないように。必死になって。
僕にはそれが分からない。気付いてやれない。
そうして、いつの間にか相手をズタズタにしているかも知れないのだ。


それなのに僕は、やっぱり気付いてやることができなくて、
いつもいつも、傷つけていたらごめん、と
謝り続けるだけ。


それはそれは、捨て猫のような気持ちだ。