カボチャの話

ぴんぽーん。
間の抜けた音が、一人暮らしの部屋に響く。
重いまぶたをこじ開けながら時計を見ると、最後に見てから2時間ほど経過していた。
この時間なら、真夜中と言ってもいいだろう。


ぴんぽーん。
こんな時間に訪ねて来るヤツが、遠慮なんて言葉を知ってるはずもない。
近所迷惑、という言葉も知らないだろう。
容赦なく響き渡る、間の抜けた音。早く出ないとまずい。


がちゃり。
パジャマ姿であることを思い出したのは、鍵を開けた後だった。
やっちまったぜベイベー! 何でそんな台詞が浮かんだのかはわからない。
後悔と羞恥は、来訪者に対する怒りへと変換された。
このやろう、こんな時間に訪ねてきやがって、いったい何処のどいつなんだ。


キィィ。
扉を開けると、目の前が真っ白になった。
眩しさに思わず顔を背ける。
どうやら、懐中電灯のようなものが、こちらへ向けられているらしい。
ふざけんな、と言ってやりたい気持ちで胸がいっぱいになった。
でも、胸がいっぱいで言葉にならなかった。


にやり。
光に慣れてきた眼が、来訪者の歪んだ笑い顔を捉えた。
見るからに危なそうな男だ。こんな時間に訪ねてくるだけのことはある。
鍵と扉を開けたことが悔やまれる。
と、視界の端で何かが光った。


ざくり。
何となく、カボチャを連想する。僕はカボチャだったのか、と。
来訪者は、歪んだ笑い顔のまま、僕の頭を覗き込んで、
「何だ、からっぽじゃねえか」と言った。
うるさい失礼なこと言うな、という言葉が喉まで出かかった。
でも、なんだかもう、意識が、遠く、なtt