それから失望

いったい僕は、何を期待していたんだか。
もう呪いの言葉しか出てこないというこの現状を、
誰か他の人が打破してくれるとでも思ったのか。
思ったのだろう。願ったのだろう。
でもそんな難しいことを他人に要求するなんて、あまりに身勝手だ。
みんな忙しいのだから。大人も、子供もだ。
難しいことを考える暇なんてないし、
どうがんばっても共感し得ないことに、どんな慰めの言葉をかけろと言うのだろう。


こうやって、僕の口から、もとい、指先から、
呪いの言葉が吐き出されていること自体が、僕を苦しめている。
当たり前だ、僕が呪っているのは、僕自身なのだから。
呪いは効くんだ。
自分で自分を呪っていながら、助けてくれ、だなんて、
そりゃみんな笑うしかないだろうさ。
わけがわからない、って顔してるだろう。僕も同感だ。
ここへ来てやっと、感覚を共有できたというワケだね。


でもね、今までのことを全部覆すようだけれど、
本当は誰も呪っていないんだよ、僕は。
ただそう、邪気眼みたいなもので、
それらしいことを言ってみたくなっているだけなんだ。
だって、そうだろ。
いくら呪いの言葉を吐いたって、何かがよくなるわけじゃないんだからさ。
そのくらい、僕にだってちゃんとわかってるってことを、
言いたかったんだよ。
それでね、みんなに「ありがとう」って言いたいんだ。
ただそれだけなんだ。
本当さ。


こうして最後に上手く誤魔化してしまおうとするのが、
呪われる原因だとは思うんだけれどね。