いつか道化に王冠を

 言わなくていいこともある。全部台無しになる言葉も、ある。それでも何か言いたくなったら、「仕方ない」って言えばいい。自分に向かって、ただ一言。
 決して賢くはないけれど、何も知らないわけじゃない。知らないフリをしてるだけ。理由なんて、たくさんある。ありすぎてうまく言えない。言わなくていいことかも知れない。ただ、時々ふと思う。私はなんてマヌケなんだろうって。そのくらいの頭はある。その程度の頭である。
 誤解されるのは仕方ない。誤解を解くのは意味がない。美意識の問題だ。そんな自分が好きなのだ。それで全て許されるのならば、何度だってそう言うさ。たまには自分を好きでいたい。鏡を見ずに、言ってみたい。
 貰えるものは何でも貰う。要らないものでも抱え込む。そうしてアンタは倒れこむ。背負い過ぎだって分かってるけど、気付いたらもう貰ってる。自分のものなど一つもない。それが哀しくてアンタは笑う。それが可笑しくてみんなも笑う。鏡も見ずに、泣いてみたい。
 アンタは今にも泣き出しそうだ。そのくせやけに幸せそうだ。アンタのために歌ってやりたい。でも私には声がない。言わなくていいこともある。全部台無しになる言葉も、ある。それでも何か言いたくなるから、歌えないけど綴りましょう。物語を紡ぎましょう。