嘘と本当の境界線上

 やっぱり俺、もう無理かも。いい加減もう無理なのかも。だってみんな、嘘ばっかりだ。何もかも、馬鹿馬鹿しくなってしまって。口を開けば、呪いの言葉が零れ落ちそう。それでも無理やり微笑んで、いつも嘘ばかりついている俺は、もう何が嘘かもわからない。嘘だったものが本当になり、本当のコトは何処かへ消えた。
 一番嫌いな自分が見えた。生きてる意味を見失いそう。結局俺って、何なんだ? 何の役に、立てるんだ?
 何処からが本当で、何処までが嘘なんだ。誰がそれを教えてくれるんだ。俺の価値って、何処にあんの? とか何とか考えながら、やりきれない気持ちを呑み込んだ。全部、全部、呑み込んで、昨日と同じ自分を創る。呑み込んだものは、ここに、こうして吐き出して。
 これってホント、くだらない生き方だよね。結局全部、エゴだよね。本当のコトは全部隠して、嘘を本当にしようとしてる。そんなこと分かってんだ。分かってるけど、そうしたい。嘘が本当になればいい。俺はいつも笑っている。純粋で単純で、つまり、バカで、バカなりに必死で生きていて、誰かの役に立ちたくて。ただそれだけのために、毎日を楽しく生きている。
 そんな俺のくだらない嘘は、誰にも気づかれたくないし、気づかれなければ本当になる。
 けど、俺、やっぱ、たまに哀しくなるんだよね。誰か一人くらい、俺の嘘に気づいてくれてもいいのになって、思ってしまうんだよね。って、ここに吐き出してちゃ意味ないんだけどさ。嘘を嘘として認めてる。そんな弱い自分すらも、嘘にしてしまいたい。
 もう何だっていいからさ、俺に価値を与えてくれよ。俺にできることって、何?