うそつきげき

 自分が嘘つきであることを知っている人間は、他人が言うことも嘘のような気がしてしまう。だから本当は信じきれていない。それでも素直に信じたふりをしてしまうから、やっぱりソイツは嘘つきなのである。しかも、平気な顔で「私は嘘をつけるほど器用じゃありません」なんて言ったりする。そんな茶番に、相手は気付いていないように見えるが、実はそれも「ふり」なのかもしれない。たいへんよくできたお芝居だ。喜劇は、まじめな顔で演じられるからこそ面白い。