殺人鬼は泣く

 他者に何かを要求する自分を嫌い、隠れて努力する彼ら。自らを切り刻み、押し黙っている彼ら。そんな彼らを効率よく見つけ出すには……彼らに存在を主張させればいい。
「私は一生懸命隠れて努力してますよ!」
 そう言った途端、彼らは死ぬだろう。だって、彼らにとってその言葉はあまりにもグロテスクだ。そんなこと言わせるなんて、自殺しろと言うようなもの。「当付け」に言い訳を求めるのとも似ている。どうしてそんなことするの? 答えても、答えなくても、償いは死ぬ。もうとっくに殺されている。だってそれは、すでに「当付け」と呼ばれてしまっているのだから。
 彼らを殺した僕らは、死んだ彼らの亡骸を見て「可哀想に」と涙を流す。……不気味だ。