サラミピッツァ

 夜明け前。僕は世界に腹を立てる。頼んでもいないピザがおまけつきで配達されるこの世界に。「寒い中ご苦労様です」と僕は言う。ピザ屋のお兄さんは「いえいえ、仕事ですから」と満足げな顔をする。僕はサラミの乗ったピザを食べない。けれどそんなこととは関係なく、「ありがとう」と言ってピザ屋のお兄さんを見送った。つまりそういうことだ。僕は世界に腹を立てる。苦労と義務と満足が充満している、小さな世界に。