自分で削り取った道

 私の人生は、否定の上に成り立っている。
 ○○は嫌い。××も嫌い。△△も好きじゃない。色々なものを切り捨てながら、残ったものだけを拾い集めた。それは選択と呼べるほどのものでもなく。ただ否定と拒絶の繰り返し。好きなものを選び出すより先に、嫌いなものをふるいに掛ける。そんな方法でよくここまで生きてこられたものだ。
 昔から友達と呼べる人が少なかったのも、気に入らない人間をすぐにふるい落としてしまっていたからだろう。今現在私の周りにいる友人も、約20年生きてきた結果としては、間違いなく平均を下回る数だ。深く狭くの友好関係。どうだろう。相手にとってみれば、深くはないのかも知れない。私にとってはこれで十分深いのだけど。
 それを望んだというよりは、生き方の結果がそうだった。今その道を振り返ると、私が思っていたよりずっと、細くて暗い道が見えた。いつ途切れてもおかしくないような。なんだか少し哀しくなる。だけど、たぶん、この生き方そのものが、他の生き方を否定し拒絶した結果だから。私はまた前を向いて歩き出す。こんな細い道でも、何とか歩けるもんだなと思いながら。
 道を広げる努力をしろよって、声が聴こえても、その言葉をまたふるい落としてしまうんだろう。賢くない生き方でもいいや。