夢って何だか、ゆらゆらします

 川辺だ。足元には草。草のイデアみたいなヤツで、名前は知らない。見上げた空はとても暗かった。でも、あたりは妙に明るい。向こう岸までハッキリと見える。不思議な場所。不思議な川辺だった。
 当然、川が流れている。さらさらと流れているはずなのだけれど、音はしない。とても、静かだ。「さらさら」は擬態語だろうか、なんて考える。もう一度、足元に眼を落とすと、気持ちの悪い蟲がうごめいていた。最悪な気分。しかもよく見ると一匹じゃない。あっちにもこっちにも。とにかくたくさんうごめいていた。背筋がぞくぞくする。こういうのを、虫唾が走るって言うんだろう。
 嫌になって顔をあげると、紫色の光がひらひらと移動していた。蝶だ。昔図鑑で見たのに似ている。名前は分からない。けれど、とてもきれいな蝶。蝶は川へ向かっていた。水が好きなのかも知れない。僕も、水が好きだ。


 こんな夢を、昔、見た気がして。もやもやしていたんだけれど、書いているうちに思い出した。夢。夢です、これは。