宛先不明の感謝状

 あの人たちのいいトコロなら、私はたくさん知っている。バカなフリをしているけれど、きっと本当は賢い人たち。周りをよく見ているし、実は必死に生きている。もちろん、問題ありな部分もある。でもだから何なんだ。そんなの、誰にでもある悪いクセみたいなもの。私にだって、あり過ぎるほどある。それに比べたら、あのくらい。
 不器用なのだ、あの人たちは。私なんかに言われたくないだろうけど。そういう意味ではちょっと似てるのかも知れない。つまり、私と。あ、スミマセン今の無しで!
 私は時々、思ってしまうのだ。何でこの人が嫌われるんだろう、って。非難するのじゃなく、単純に疑問に思う。ああでもやっぱり、ちょっと、すこし、哀しい。誰にも嫌われない人なんていないのだろうけど。どうしても我慢できないことだって、それぞれあるのだろうけど。けど。
 世の中には、普段は大人しいのに喋ってみると愚痴ばっかり、みたいな人だっている。そりゃ仕方ない。その人は普段大人しくして色々考えているんだから。口を開いたらそいつが溢れてくるのは仕方ない。だから私はそれを責めたくはない。
 でもあの人たちはそうじゃない。愚痴は言わない。黙々と、一生懸命生きているだけだ。実際結構必死なくせに、周りのことを気にしている。そうすることで、何かを守ったりしているのかも知れない。私には分からない。けれど、その人たちの必死さや、口から零す言葉たちは、心地よいものだと思う。「一生懸命」であることは、少なくとも、私を救ってくれると思う。
 だから私は感謝する。その気持ちを叫んで歌う。