自分攻撃型サディスト

 自分の非力さに腹が立つ。気遣いが足りないことや、頭の回転が遅いこと。体力が無いこと。言葉が足りないこと。それらを全部ひっくるめての、非力さ。腹を立てても仕方が無いし、こんなところに列挙したって意味が無い。これが自分の限界だとも思ってはいない。これから向上させていければいいだけなのだ。そう思っていても、自分の現状に苛立ちを感じる。
 今この瞬間に、拾い上げられないモノがあるからだろう。今の私では、掴みきれない、目の前で壊れていくモノ。私の助けなど無くても、自分のチカラで、或いは、誰か他の人のチカラで、前に進んでいくのかも知れない。私の手など、大きなお世話。だけど、もしかしたら。ひょっとしたら。
 失望させるのではないかとさえ、思う。
 たぶん、考えすぎの自意識過剰。頼ってすらいない人間には、失望することなど無いのだから。でも、本当のコトなんて、いつだって分からない。もっと出来るヒトだと思ってたのに。もっと気の利く子だと思ってたのに。案外、大したこと無いんだね。聞こえもしない言葉に怯えて、私はいつだってもがいている。もっと上へ。もっと高く。もっと速く。
 そう要求するのは、いつだって私自身なのだ。そうしていなければ、自分に失望してしまう。自分に失望されてしまう。ギリギリのところまで自分を追い込みたがる私は、実はサディストなのだと思う。自分に対して、サディスティック。他人に何かを要求される前に、他人に失望される前に、自分で自分を攻撃する。
 そんな私だから、どこかヒトを下に見たがって、手を差し伸べようとするのかも知れない。何て醜い人間だろうと思う。けれどそうやって自分を蔑んでいる私は、自分すらも、下に見たがっているのだろう。それでもやっぱりサディストだから、そんな自分の非力さが許せずに腹が立つ。