破れたポケット裏返す

 言いたいコトがあるならハッキリ言え、とよく言われるけれど、言いたいコトはたいていちゃんと言っている。言いたくないから、言わないだけだ。本心を言いたいワケじゃない。そもそも、どれが本心かなんて自分でもよく分からない。言う気になるコトを言うしかない。いったい何が聞きたいんだ、と私は思う。
 さて、この後に続けて色々書いていたのだけれど、読み返してみるとただの愚痴だった。ので、カットした。そんなもん書いて何になる。ネガティブを無意味に垂れ流すくらいなら、にっこり笑う。ニッコリ。スマイル。もちろんネガティブが悪いワケじゃない。私はネガティブが好きだ。好きだから呑み込むのだろう。取り込んで、抱え込む。ぬいぐるみのように。おやすみ、テディ。テディ? そう、テディベア。ひょっとして、サリンジャー
 何だっけ。何か書こうと思っていたのに。愚痴じゃなくてね。もう少し、こう、何だろうね。忘れてしまった。何しろ頭が空っぽなので。破れたポケットと同じでね。入れたと思って安心してたら、いつの間にか落っこちている。だからいつも空っぽってワケ。ポケットと違うのは、穴が空いてるってコトも忘れてしまうってトコ。なんせ、脳味噌ってヤツが、無いワケだからね。
 まあいいか、忘れてしまったから諦めよう。と思ったら思い出した。言いたいコトと、言わないコトと、言えないコトがある。って話をしようと思っていたんだ。けれど、もう、いいや。面倒くさくなっちゃった。
 結論だけ言おう。言えないコトってのは、つまり、言ったら台無しになってしまうコトだ。だから言えない。言えないのは言っちゃいけないからで、言っちゃいけないのは言ったら台無しになるからだ。「言いたいコトがあるならハッキリ言え」という言葉は、どうも、その“台無し”を狙っているように思う。騙されちゃいけない。言いたくないコトまで言ってはいけない。時には自分の“言いたいという気持ち”すらも疑ってみなきゃいけない。本当に言いたいのか? 何を聞かせたい? 聞かせてどうする? 「俺を信じろ」と言うヤツは信用できないし、「君の事はよく分かってる」と言うヤツは何も分かっちゃいない。アイツ等みんな嘘つきだ!(と言っている私がまさに嘘つきであるのだけれども。)
 と、そんなコトを、もう少しきれいに話すつもりだったのだ。でもまあ、こんなもんさ。