2007-01-01から1年間の記事一覧

虫食む月

今日は満月。しかも月蝕だ。結構楽しみにしていたのだけれど、生憎のお天気で、月蝕は雲の向こう側。ついさっき空を見上げたら、雲がぼんやり光っていた。きっとあそこに月があるんだろう。見えたって仕方ない。消えるところが見たかった。 まあ、それはそれ…

何の話だか

「お客様、心してお聞きください」 と、ソイツは言った。前にどこかで見た顔だ。ゲームか何かで……マンガだったかも知れない。とにかくうさんくさい顔。まったく、ヘラヘラ笑いやがって。 「お客様の状態は、ソドシラソ(Syrup16g)とノクターン第20番(ショ…

破れたポケット裏返す

言いたいコトがあるならハッキリ言え、とよく言われるけれど、言いたいコトはたいていちゃんと言っている。言いたくないから、言わないだけだ。本心を言いたいワケじゃない。そもそも、どれが本心かなんて自分でもよく分からない。言う気になるコトを言うし…

空想と決めごと

「死にたいなら死ねばいい」 いつか誰かが私に言った。私は死ぬことを考える。 積極的に死にたいとはあまり思わない。自分の手で今すぐに終わらせたい、とは。ただ、空から雪が降るように、死が降って来ればいいと思う。静かに、寒々しく死んでみたい。そん…

ただし、個人的には

どのようなベクトルであるにせよ、優しいヒトは好きだ。目の前で泣いてくれるヒトも好きだ。無理矢理笑うヒトだって。僕は優しいものが好きだ。何が優しさなのかは知らないけれど。

泣けない人たち

違う。そんなもの要らない。欲しくない。嬉しくない。やめてくれ。僕は、違う。心臓がえぐられていく。 そんな風に、誰かが思っていたとして。その誰かが、相手の優しさを与えられているのであったとしたら。自分にとってどんなに苦しいことであっても、それ…

一本道は選べない

どうしようもない。仕方がない。それが選択の結果なのだから。と、誰かは言ったかも知れない。でも本当にそうだろうか。どうしようもないし、仕方がない。けれど、それは、選択の余地すら与えられなかったからではないだろうか。他に道が無かった。いや、最…

ケチャップよりも広く

守りたいもの。こだわり。決意。信念。野望。譲れないものが、たくさん……たくさんあった。けれど、いつの間にかずいぶん少なくなってしまった。意志は削られ、信は折られた。私自身の手によって。じわじわと壊されていく。ザマァミロ。と、笑う。崩壊したい…

ピーナツバタは融ける

最近何だか、うまく噛み合わない。色々なものがズレている。ような気がする。僕の思考と、感覚も、きっとズレてしまっている。たぶん、糸が切れているのだ。繋ぎ直さなくては。でも、何処に? 世界と、意味と、時間と。 会話ができなくなる。僕の言葉が、相…

嘘だと言ってくれ

ちくしょう。僕は、逃げ出せてしまう。物語を終わらせるのは、物語だろうか。舞台から降りる方法は、物語であってくれるだろうか。僕の存在――“他者の存在”の否定!

夜道を歩く

すこし遅めの昼食を食べたら、すこぶる気分が悪くなった。本を読んでもおさまらない。仕方がないからショパンを聴いた。今度は何だか泣きたくなった。誰か僕のためにノクターンを弾いて欲しい。そんな気持ちにすらなった。植え込みの樹に話し掛けようにも、…

まだ読まれない手紙

最近、手紙を書いた。僕じゃない誰かへ宛てた手紙だ。僕はそれをノートに下書きして、大学の生協で買った便箋に清書した。下書きをしたのは大学のキャンパスの隅っこで。清書したのは、家の食卓でだ。 今日は早く寝なくちゃと思いながら、僕は便箋を広げた。…

でも転げ落ちた

ふと我に返ると、と人は言う。いったい、帰る場所としての我なんてどこに在るのだ、と僕は言う。むしろ、我に返ったときの「我」は、普段の我からは離れてしまっているのではないか。ということは、離れた状態から再び我に立ち戻ることを「我に返る」と言う…

それでも生きていくために

まただ。泣き声が聞こえる。私がズタズタに引き裂いた人たちの。傷つけられてもいい人間なんていない。傷つけてもいい人間だっていない。誰も、傷つけてはいけないはずなのだ。それでも私は傷つけている。生きるのはこわいことだと思う。いつも、誰かが、泣…

つい今し方

お気に入りの場所で文字を食べていたら、誰かが走って来る音が聞こえた。顔をあげて見ると、それは全然知らない人で、走って来たのは雨が降り出したからだった。私は屋根の下にいたのだ。その時の私は、「やったゼ」とか「ざまあみろ」とか言ってるような、…

ところで。

気がつくと「嘘」のことばかり書いている。少し前は「歪み」のことばかり書いていた気がする。だからどうってワケでもないんだけれど。 月曜日、雨が降ったらいいなあ。砂場でどろだんごでも作りたい気分だ。懐かしいな、どろだんご。僕、どろだんご作るの無…

ひどい話が嘘になる話

いつだって、私が泣き出すより先に、嗚咽を漏らす人がいる。私が拳を振り上げるより先に、窓ガラスを叩き割る人がいる。私が笑っている時に、不安げな顔をする人がいる。みんな、私の分まで悔しい思いをしているのだ。それはきっと、私のせい。私が泣こうと…

速報

時間が無いから、ひと言だけ、言うぞ。「時間なんてくそくらえ」だ! やばい寝なきゃ!!

雨が降ったから

駅のロータリ。クスリ。トローチ。トートロジー。1イコール1。AイコールA。私イコール、私? 私の口で言葉を話す。私の口が言葉を話す。私の口で、言葉が話す。私は言葉に喋らされている。私の言葉、ではなく、言葉の私。それに向かって私は話す。堂々巡…

嘘の告発 ―告発が嘘なのか、嘘を告発したのか―

うまく行かないものだな。と、私は思った。けれど、それが何のことなのかはさっぱり分からない。電気をつけないまま一晩過ごして、気がついたらカーテンを開けてもいいような時間になっている。私がどんなに止まっていても、時間は止まってはくれないのだ。…

腹立ち紛れの神頼み

怒りに任せて何か吐き出してやろうと思ったのに、腹が立ちすぎてうまく行かなかった。それがまた腹立たしい。 なあ、神様。どうして世界は、優しい人に優しくしてやらないんだ? それがアンタの世界なら、俺が世界を創りなおしてやりたいよ。俺はただの嘘つ…

うそつきげき

自分が嘘つきであることを知っている人間は、他人が言うことも嘘のような気がしてしまう。だから本当は信じきれていない。それでも素直に信じたふりをしてしまうから、やっぱりソイツは嘘つきなのである。しかも、平気な顔で「私は嘘をつけるほど器用じゃあ…

僕の価値は誰かが決める

価値があるとか無いとかって、自分で決めるものだろうか。 僕は時々、自分の存在価値を見失う。どこかに落としてきてしまう。僕はそれを自分で見つけ出すことはできないらしい。親切な誰かが再び与えてくれるのを、死にそうになりながら待っているだけ。情け…

世界飽和

誰も傷つけたくないとかいう 無茶な願い 持ち続けて 他人の傷だけに敏感に 自分の傷には鈍感に 誰かのために在りたいけど 口にするのはやめたいけど ただ 君だけとか 僕だけとか そういうのは嫌なんだよ 誰より強くありたいとかいう 無茶な願い ココロは脆い…

マッチ一本火事のもと

めんどくせぇな、まったく。伝わって欲しいことは、相変わらずちっとも伝わりやしない。そうして、全然違うところをつっ突いて来やがるんだからな。そりゃあ俺だってキレそうにもなるってもんよ。 こうなるともうダメだ。しばらくは止まらない。自分のすべて…

ならぬ言葉

言葉。色んな言葉がある。様々な姿で僕の前に現れては消えていく。それぞれが、何か特別な答えを秘めていそうで、僕は必死になって捕まえようと試みる。けれど、どうにもうまくいかないのだ。ぐっと握った右手に確かな手ごたえを感じながら、ゆっくり開いて…

時よ止まれ

あーあ、今日は早く寝るつもりだったのに。3日連続で働き終えて、帰りは坂道を延々30分、自転車こぎ続けて帰ってきたんだ。その上明日は週に二日の早起き日。7時起きだゼ、7時起き! 別に早く寝たいワケじゃない。でもな、早く寝ないと明日起きられない…

支離滅裂な嘘つき男

「頭いいね」なんて言われても嬉しくないって、誰かが言った。「私はあなたほど頭がよくないから、そんな風にはできません」と言われているような気がする、って。その気持ちに近いものが、分かったような……。 「アンタは偉いね」なんて、言われたかったワケ…

ちぐはぐ

書けない。潰れた喉に言葉が全部引っ掛かっているみたいだ。吐き出したいモノがあったのに。ため息すらつけないほどに、僕の喉はボロボロだ。喉がだめなら、涙くらい出るんじゃないかと思うけど、それも案外難しい。 ショパンを聴くと、哀しいような懐かしい…

泣けない姉さん

その日、姉さんは完全にいつも通りだった。 靴を脱ぎながら「ただいま」と言い、重そうなカバンを下ろし、食卓に向かって「おなか空いた」と呟く。山盛りのサラダをおかずに、控えめに盛ったご飯をおかわり。デザートにはプリンを食べた。その間、ゼミの教授…